―――――――――――――――――――― 　①ヤコブの殉教 ―――――――――――――――――――― ◎ヤコブを惨殺したヘロデ王はヘロデ大王の孫のヘロデ・アグリッパⅠ世。ヤコブは12弟子のヤコブ。ヨハネの兄。ペテロとヤコブとヨハネは12弟子の中でも重んじられた3人。そのうちの一人が殉教した。 ―――――――――――――――――― 　②ペテロの救出 ―――――――――――――――――― ◎◎絶体絶命の投獄体制の中、天使によってペテロは救出された。天使とはイエスを信じた者に仕える霊である（ヘブル1:4）。 ◎人も天使も霊的な存在であるが、人は肉体を得ているが故に天使より劣ると見られる。しかし、その劣ると見られる弱さこそが人間があわれみを受け、神の栄光を受け継ぐ理由である。（ヘブル2:6-8）。 ――――――――――――――――――――― 　③ヤコブとペテロの違いは何を意味するのか ――――――――――――――――――――― ◎では天使はヤコブを助けてくれなかったのか。いいえ。彼が死に至るまで復活の希望を失わないように助けてくれたはず。あの十字架で死なんとするイエスを天使が助け力づけたように。 ◎両者の違いは祈りの熱心さの違いではない。12章5節に「熱心に祈りがささげられていた」とあるが、ヤコブの時も同様に祈ったのだ。 ◎イエスの名による祈りは〝必ず〟イエスに届いている。ただ、主からの応答はそれぞれ異なる。ヤコブには殉教、ペテロには救出をもって、神の御業がなされたのだ。 ◎この差は熱心や確信の差でもない。各自の祈りに主は応答して、各自の人生や使命をお与えになる。それが違えど、他者と比較することなく主に信頼しよう。指揮者なるイエスはそれらをまとめて栄光の讃歌となさる。

―――――――――――――――――――― 　①ユダヤ人クリスチャンからの批難 ―――――――――――――――――――― ユダヤ人でクリスチャンとなった人々は、ペテロが異邦人コルネリオへの関わりをもったことを批難した。それに対する説明が今日の聖句。 ①異邦人を避けたのは異教の習慣を受けないため。では現代は？ ②なぜペテロだったのか。異邦人宣教はパウロによったのでは？。 ③教会のトップであるペテロでさえ批判するユダヤ人のメンタリティ。 ―――――――――――――――――― 　②割礼を受けなければ救われないのか ―――――――――――――――――― ◎批難したユダヤ人クリスチャン（割礼派クリスチャン）は、異邦人の救いを否定したのではない。まず、割礼を受けてユダヤ教徒になって、その上でイエスを信じて救われると考えた。その手続をすっ飛ばして異邦人が救われるのか……という問題提起だ。 ◎男性の包皮を切り取るのが割礼。この割礼を受けてユダヤ人（ユダヤ教徒）となるのだ。新約的には「心の割礼」を意味している。 ◎18節では、割礼を受けなくても……ユダヤ人にならなくても……救われると認めたのだ。しかし、この問題はくすぶり続ける。現代でも……。 ◎現代的にいえば、平均的なクリスチャン生活ができなければ救われないのか……という問題だ。 ◎飲酒喫煙をしない。ギャンブルしない。日曜礼拝を守る。献金をする。これらはクリスチャンの良き習慣。でも、それが救いの条件になってはならない。分かっていても、無意識に、そのような生活を強要するとか、それができそうな人に伝道するとか。それは現代の割礼問題だ。 ◎結論……割礼を受けなくても救われる。つまり、平均的クリスチャンの生活ができなくても救われるのだ。イエス・キリストを信じるだけで救われる。聖書がくどいほど割礼問題を取り上げる理由がここにある。

―――――――――――――――――――― 　①神はイエス・キリストによって語られた ―――――――――――――――――――― ◎昔、神は預言者（しもべの身分）たちによって語られたが、今や神の御子イエスによって語られた。だから、預言者たちによる旧約聖書よりイエスによる新約聖書に更なる権威がある。 ◎その権威を裏付けるために様々な奇蹟をあらわされた（37～38節）。 ―――――――――――――――――― 　②平和を宣べ伝えるために ―――――――――――――――――― ◎そのイエス・キリストは「平和を宣べ伝えた」。軍事力で平和を追求してきたコルネリオにとって興味深い宣言であるに違いない。 ◎国同士では平和条約を結ぶ。それは互いに攻撃しないという契約だ。大戦後、日本はサンフランシスコ平和条約に調印した。かつては敵同士だったのが不思議なほど米国と日本は平和な関係が続いている。 ◎だが、その土台は「神との平和」がなければならない。まさに、キリストによる新しい契約は「神との平和」である。神は、二度と私たちを滅ぼさないという契約だ。この契約の担い手であるイエスを受け入れるのだ。 ――――――――――――――――――― 　③裁き主（審判者）としてのキリスト ――――――――――――――――――― ◎しかし、イエスに平和の担い手としての権威を認めない人々は、イエスを拒絶して十字架で殺した（39節）。しかし、神はそのイエスをよみがえらせることで、神の権威あるキリストとして証明された（40節）。 ◎だから、このイエスに神の平和をもたらす権威、裁き主の権威をお授けになった（42節）。このお方によって罪が赦される。つまり神との平和を受けるのだ。これは旧約の預言者たちが予告してきたことだ（43節）。 ◎このように、ペテロは「平和をもたらす裁き主」としてのキリストを語った。これを信じたコルネリオは救われた。割礼は必要なかった。バプテスマを受けたからでもなかった（44～47節）。信じるだけで救われるのだ。

―――――――――――――――――― 　①コルネリオへの神の対応 ―――――――――――――――――― ◎コルネリオ……ローマの百人隊長。ユダヤ教徒ではないが神を信じ祈っていた。しかし、神はこの祈りに応答された（10：1～4）。未信者でも真心からの祈りに神は応答してくださる。 ◎天使が現れ、ペテロを招待せよと命じられた。異邦人であるコルネリオとユダヤ人であるペテロの出会いを神は計画なさった。ここから歴史は大きな展開をもたらすのだ。 ―――――――――――――――――― 　②ペテロの見た幻とは？ ―――――――――――――――――― ◎それはユダヤ人からすれば無謀に思われた。何故なら異邦人との交流を禁じていたからだ。その象徴が「食物規定」。……けがれている故に食べてはならないとされる動物。 ◎そんな動物を食べよという幻をペテロは見た。拒絶するペテロに、神がきよめた物をきよくないと言ってはならないとの御告げがあった。 ――――――――――――――――― 　③ヨッパからの大展開 ――――――――――――――――― ◎そんな時にコルネリオの使者が来訪。彼らは〝きよくない〟とされる異邦人だ。しかし神は、彼らをきよくないと言ってはならないと。彼らを受け入れコルネリオを訪ねよ……これが幻の示すところであった。 ◎ペテロは大きな一歩を踏み出した。この時歴史は動いた。ユダヤ教の一派としての信仰から、異邦人も信じる世界宗教への大展開だ。 ◎この出来事はヨッパで起きた。それは旧約の預言者ヨナがニネベ（異邦人の都）への宣教命令を嫌ってヨッパから船出した町である。ペテロはそのことを意識しただろう。彼の本名は「ヨナの子シモン」だからだ。 ◎勇気を持って主を信頼して第一歩を踏み出そう。私たちの人生に大展開をもたらす一歩のために、コルネリオのごとく祈り続けよう。

―――――――――――――――――― 　①サウロ（パウロ）の回心 ―――――――――――――――――― ◎サウロはキリスト教会への大迫害の先頭に立って、ダマスコに住む信者を捕らえるために向かった（9:1-2）。その途上でイエスが現れた（3-5）。 ◎サウロは教会を迫害していたのだが、イエスは「わたしを迫害している」と言われた。キリストと教会はひとつなのだ。だから、試練も栄光もキリストと共に一緒に受けるのだ。 ―――――――――――――――――― 　②アナニヤの派遣 ―――――――――――――――――― ◎キリスト出現の強烈な光を受けてサウロは目が見えなくなり、そのままダマスコに滞在した。そこに主はアナニヤを派遣（9:10-12）。世界宣教の器となるパウロを任命するにあたり主は一般信徒を用いられた。おのれを「一信徒」とあなどってはならない。 ◎主はアナニヤに命じるだけでなくサウロにも同様に語られた。重要なことは、このように複数の啓示によってなされる。教会の決定も同じだ。 ――――――――――――――――― 　③目からウロコのような物が落ちた ――――――――――――――――― ◎「目からウロコ」とはこの聖書箇所が語源。「あ～そうだったのか」と目が開かれる経験のことだ。サウロはそのように目が開かれた。 ◎「見えない神が人間となるなどあり得ない」というウロコがサウロをして見えなくさせていた。しかし、遂に見えるようになった。「イエスは神の子だ」と宣教した（20）。それは「イエスは神が人となってこられたお方だ。すなわちイエスは神だ」という宣言である。 ◎22節の「イエスはキリストだ」とは、聖書が預言するキリストは、十字架で死んで復活したイエスであるという宣言だ。

―――――――――――――――――― 　①〝ところが〟という展開に期待せよ ―――――――――――――――――― ◎26節「ところが」とあるが、サマリヤ宣教の立役者ともいえるピリポに、主は「ガザにくだる道に出よ」と命じられた。華やかな活躍の場から、荒れた地への出向命令だ。 ◎主の命令は理解しがたいものがある。しかし、そんな〝ところが〟から思わぬ展開があるのだ。期待しよう。 ―――――――――――――――――― 　②出会いによる導きがある ―――――――――――――――――― ◎◎なんとその道でエチオピア人の宦官との出会いが用意されていた。神は目に見えないお方であるが、人との出会いの中で出会ってくださるのだ。 ◎出会いを大切にしよう。「今日も新たな出会いの中にイエス様が共におられるように」と祈りながら出て行こう。 ――――――――――――――――― 　③聖書による導きがある ――――――――――――――――― ◎なんとその宦官は聖書を読んでいた。いきなり神とかキリストを伝えるにはハードルが高い。聖書（聖句）がきっかけとなる。私も「聖書を読んでみないか」と案内されてキリストを知るようになった。 ◎彼はイザヤ書を読んでいた。8章32～33節の〝彼〟とはだれのことか。イエス・キリストだ。こじつけ解釈ではない。ならば、実際にイザヤ書53章を読んでみよう。 ◎若枝……ダビデの子孫。彼の苦しみは民の罪の刑罰を身代わりに受けている。それを神が定めたのだ。彼は、罪人のために執り成しをする……と。 ◎宦官はこの解説を受けてイエスがキリストだと信じ、バプテスマを希望した。「何か差し支えがあるか」との問い（36）。まったくありません。

――――――――――――――― 　①神の御言は広がっていった ――――――――――――――― ◎ステパノ殺害を機にクリスチャンへの迫害が激しくなった（1）。 ◎難を逃れ国外逃亡する彼らは、そんな悲惨な状況にもかかわらず「御言を宣べながら離散していった。御言を伝えることこそ私たちの使命だ。 ――――――――――――― 　②ユダヤからサマリヤへ ――――――――――――― ◎離散者の中のピリポはサマリヤで福音を伝えた（5）。イエスの命令はユダヤ→サマリヤ→地の果てまで伝えよ。それに添ってルカは記録した。 ◎ユダヤ人にとってサマリヤ人とは犬猿の仲。サマリヤの地に足を踏み入れたり関わりを持つことは考えられない。 ◎しかし、ピリポはその衝撃的な一歩を踏み出した。無理を……自分の頑張りなので……する必要はないが、聖霊にうながされた第一歩は新しい世界を開くのだ。あなたもチャレンジしてみよう。 ――――――――――――――――― 　③初代教会に現れた著しいしるし ――――――――――――――――― ◎6～7節のような〝しるし〟が伴えば伝道も進むだろうにと思う。現代ではあり得ないのだろうか。信仰が足りないからか。祈り不足なのか。 ◎聖書全体の歴史を俯瞰すると、しるしが著しく現れる時代とそうではない時代がある。モーセが神の御言を伝えた時、神は著しいしるしをもって、神の御言を裏付けられた。しかしその後、さほど現れない時代もある。 ◎新約の御言（福音）が伝えられた時代も同じだ。マルコ16：20参照。 ◎新約聖書でも初期の頃の記録（3福音書、使徒行伝）にはしるしが多く記述。しかし、パウロの晩年の書では「敬虔の奥義」を強調。ヨハネ文書（紀元90年代）では「愛」を強調。しるしの時代からの変化がある。 ◎しるしがなくなったのではない。〝著しく〟ではなくなっただけだ。今でも主はしるしをもって、私たちの宣教を支援してくださる。

①ステパノに対する訴訟内容とは。 ◎人々はステパノが神殿と律法を冒涜しているとして訴えた。（6章13-14節） ◎「神殿を壊せと言っている」のはまったくの嘘。ただ、神殿に込められた神の意図は、神の名であるイエスを受けた私たちの中に実現している。だから、石造りの神殿の時代は終わった。律法も然り。 ②拒絶された者が解放者となった。 ◎7章はステパノの説教。イスラエルの歴史を述べているようだが、ヨセフとモーセに注目を寄せている。両者に共通していることは、一度は民から拒絶されたことだ。 ◎しかし、ヨセフはエジプトで王の右の座につき飢饉からイスラエル民を救う者となった。モーセは奴隷の地エジプトからの解放者となった。このモチーフは、人々から拒絶されたが真の救い主となったイエスと同じだ。 ③モーセのようなひとりの預言者とは。 ◎モーセはユダヤ教徒からすれば、奴隷からの解放者、神の御言（律法）を与える者。モーセに始まりモーセで完結するほどに尊敬している。 ◎しかし、そのモーセ自身が「私のような預言者が登場する」と語っているのだ。〝モーセのような〟とは、どのような者なのか。 ◎奴隷の地からの解放者だ。まさに、イエスこそ罪の奴隷からの解放者ではないか。モーセは小羊の血を流してエジプト解放をもたらしたが、イエスはご自身の血をもって私たちを罪から解放してくださった。 ◎モーセのように律法を与える人物だ。律法をさずかったことを記念する五旬節祭に、イエスは聖霊を注がれた。 ◎イエスこそ〝モーセのような〟預言者。救い主だ。ここまで提示されながらユダヤ人は拒絶し、ステパノを殺害したのだ。